Materialz - ZUNDAとオートバイたちとの記録

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人生とバイク。

ZUNDAとオートバイたちとの記録

2002 - 新疆ウイグル自治区旅行記 - 2

Wulumuqi市にて

オンボロバスで15分ほど飛ばすと、漢族はまず行かない二道橋(アードォチョオ)市場に着く。
ここは新疆最大のバザールで、食料品はもとより生活必需品・衣類・オンボロ電化製品などがところ狭しと並べられていた。

特に金曜日は本バザールの日なので、凄まじい人出だった。さらに、客寄せの民族舞踏とやかましい太鼓とラッパ(?)が拍車をかけ、自分のサイフを守るのが精一杯といったところだった。

ちなみにウルムチの犯罪発生率は中国国内の平均より遥かに低く、ほぼ日本並みとのこと。

そして少数だが乞食もいる。この人たちは大抵身体障害者であり、残念ながらこの国の福祉というものが遅れているのが実感できた。私は一角(約1.5円)を手当たり次第に渡しておいた。
市場は金曜日以外適度な人出であり、いつもぶらぶらとバザール物色していた。
半ば傾いている長イスしかなく、日本の保健所が見たら血相を変えて飛んできそうな食堂でシシカバブ(羊肉の串焼き)を食べたり、ナンを買って食べたり、羊の解体の現場を見たりと、写真を撮って歩き回った。

ちなみに私はこの市場で一切中国語を使わなかった。
元々殆ど話せないという理由もあるが、迂闊に中国語を使うと命に関わる、という理由があったから。

先ほども言った様に、ここ二道橋市場は漢族はまず行かない市場である。本当に中心地から近いのだが、南門(ナンメン)広場を過ぎると、いつの間にか漢民族が一人も歩いていない。

ここ新疆ウイグル自治区は、少なくとも人口の面では、ウイグル族がマジョリティであり、漢族はマイノリティである。
しかしながら実権を握っているのは、マジョリティである漢民族である。

古代から侵略者である漢族に対するウイグル族の反目は、共産主義の恩恵を受けている上流階級を除いて、日本人の想像を絶するものがある。


他の日本人旅行者は、ウイグル人が溜まっている場所に行くといつも漢族の悪口を聞かされた、という話も聞く。私はそのような機会には殆どなかったが。

ここでは、あまりスペースに余裕がないので、ウイグル族やハザカ(カザフ)族などの遊牧民族と、漢民族との反目の歴史については、他の資料を参照して頂きたい。

この市場は、毎年何人も漢族が行方不明になっているという。自己防衛のため、私は「俺は日本人だぞオーラ」を振りまいて行動していた。

人と話すときは、ウイグル語をメモした紙を見ながら超あやしいウイグル語と日本語を組み合わせて会話した。
私は地元の人から見ると、少なくとも漢族には見えないとのことなので、それが幸いしたのか、一度も漢族と間違えられることはなかった。

ウイグル人は私が日本人だと解かると非常に親しげに接して来た。

中にはウイグル人と間違えられる日本人もおり、色黒で眉毛が濃い人は、ほぼ確実にウイグル族と間違えられていた。
そもそも日本人もウイグル人も同じアルタイ系民族の血が入っているので、非常にそっくりなのである。

ウイグル族のおっさんがたは、私が日本人だとわかると親しげに話しかけ来た。当然何言ってるのかちっともわからないので「メン、ヤップンイェーリッキ(私は日本人です)」で対応していた。
あとはお約束の筆談(ウイグル族でも漢字書ける人は多い)を使い、意思疎通を図った。
デジカメで写真を撮っていると、かなりの人が興味を抱き、いつの間にか多数のウイグル族に囲まれたこともしばしばあった。

3時ごろに、適当に切り上げて町の中心部の人民広場の方に歩く。
この時間帯は一番熱い時間帯で、大抵の人は昼寝のため外を出歩かない。こんな時間に出歩くのは貧乏人と昼寝の習慣が無い酔狂な外国人だけ。

気温は40度以上に上昇し、当然喉はカラカラ。通りにはクーラーボクスを構えた露店がいくつもあり、冷たいジュースが欲しくなる。
しかし、熱いときに冷たいものを飲むと下痢をしやすくなるので自重する。
それに露店で売っているジュースは個人商店の2倍もするので、事前にペットボトルに容れてきた人肌に温まったミネラルウォーターで我慢する。
乾燥地帯では温帯よりも大量の水分を取らなければ脱水症状になるのだが、もともと水をあまり飲まない性質なので、意識して水分を取る、ということはしなかったと覚えている。

二道橋市場から500mくらい歩くだけでもうそこは都会。漢族の世界に戻る。
ウイグル人もいるが、皆身なりも良く、おそらく上流の方々なのだろう。中心地はデパートあり、小奇麗な商店、立派なホテルありとさっきまでの市場とはまったく違う世界。

人民広場では老人たちがパラソルの下で昼間からうまそうにビールを飲んでいた。


ウルムチは世界で最も海から離れた都市というキャプションからは想像も出来ない大都会である。

漢族の中心地はデパートや個人商店の山で、基本的には他の中国の都市と変わるところがないのでつまらない。
建物も日本と同じような構造で、値段も市場の3倍~5倍もする。
電化製品は非常に高く、日本の1.5倍ぐらいだろうか。海爾(Haier=ハイアール)の製品が最も売れているとのことだが、皆の憧れはMade in Japanとのこと。

中国人は日本製品ならばどんなものでも高級品と考えているのか、日本の文房具などをプレゼントしたときは非常に喜んだ。昔の日本人のアメリカ製品信仰みたいなものか。

若者は日本への憧れが強いようで、日本人というだけで非常に友好的な態度で接して来る。これは漢族・ウイグル族共通していた。


中国の教育機関で教えている第一外国語は日本と同じ英語である。しかし、第二外国語は中国では日本語が一番メジャーとのこと。
そのため大学を出た人は、少々怪しいが日本語を話す人が多い。
私立の小中学校では英語・日語(日本語)を教えているとのこと。
その憧れの為か、よく商品なんぞにフォントが崩れた意味不明な日本語が書かれていた。
日本人がみれば苦笑するような代物だが、日本でも訳の解からない英語を並べ立てているので、お互い様といったところか。

中心地を歩いていると人だかりがしており、覗いてみるとたこ焼き屋があった。
店の名前は「日の船」で、意味不明のネーミング。「日的海鮮・・・」とか書かれていたので、「日本のもの」というだけで売れてい様子。
値段は高く、3個で普通のラーメンの二倍ぐらいの値段(約90円)。一つ食べてみたが、普通のたこ焼。

中国では日本料理は高級料理に分類されるようで、それを食べるのも大抵中流階級以上の人である。
日本で言うフランス料理の感覚だろうか?

夕方になり、気温が下がってくると人出が増え、人民広場では昼から酒を飲んでいた年寄り連中が退散し、仕事帰りの人が繰り出して来る。

夕暮れ前にまた一路バスで大学の宿舎に帰る。
大学の近くに連日屋台が並ぶ広場があるので、いつもそこで夕飯を食べていた。

17時になると屋台の出店許可がおり、一斉に広場に椅子とテーブルが並べられ、人が大勢集まって来る。

屋台ではシシカバブを焼く店が最も多く、他にも野菜の煮込み、焼き餃子、水餃子、炒飯(ジョアファン)=ニンジンと羊肉と米の炒め物、サソリ(!)のから揚げ、羊の内臓の煮込み、ラグ麺(ものすごく歯ごたえのある麺の上に白菜やにんにくの芽の炒め物を乗せたもの)などなど色々な料理があった。
味は共通して辛く、濃く、油っこいもので、日本人にはあまり合わないかも知れない。

私はこのウイグル料理が体に合ったようで、一ヶ月で4kgも太ってしまった。これと併せてピーチュ(口へんに卑+酒=ビール)を注文し、毎日浴びるように飲んだ。
私は19歳だが、中国では18歳から飲酒OKなので、堂々と飲んでいた。

ここのメーカの銘柄である新疆ビールの味は非常に良く、今まで飲んだ中でも最高レベルの味だった。ホップの苦みがなく、またアルコール度数が低いので(約3%)まさに水代わりに飲めた。
特に、料理が辛いので、ビール無しでは料理が食べられなかった、という理由もあったが・・・

ここ新疆のホップの質は非常に高く、ドイツのビールメーカーも採用しているという逸品とのこと。

料理の値段は安く、腹一杯食べ、ビールを飲んでもせいぜい10元(約150円)だった。
中国では「食は生活の基本」とのことで食品への税金は非常に安く、そのかわり贅沢品は高く設定されている。食品への税金が高く、消費税で全商品一律同じ税金の日本はこのあたりを見習って欲しいものである。


(おわり)
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