Materialz - ZUNDAとオートバイたちとの記録

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ZUNDAとオートバイたちとの記録

2005 - ウイグル族の怒り

近代の中央アジア史とその考察+若干の実地調査から3年後

以下の内容は中央アジアの歴史と現況の話なので、そーゆーのに興味の無い方はパスしてください。

※ あらかじめ言っときますが、私の学術専攻はメディアデザインです・・・

2005-Xinjiangの事件から

2005年9月30日、東トルキスタン独立を目指す「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」が闘争宣言を行いました。その報道を受けて。

EastTurkistan(東トルコ系民族の国)という地域は古来はシルクロードの重要な中継点であり、ローランやカシュガル、フェルガーナといったオアシス国家が存在した土地です。

古来は古イラン系民族からモンゴル・トゥルク系民族、そして近代では漢族と言った民族がこの地を支配してきましたが、ウイグル民族は比較的後発の民族であると言えます。
そもそもウイグル族という括りが非常に曖昧です。北部のウイグル人はハザカ(カザフ)族やタジク族などの北方騎馬民族系の混血であり、どちらかと言うと東北・北海道の日本人に近い風貌で、肌は白く、まれに目が青い人も居ます。一方南のウイグル人は中東・インド系の混血であり、肌が浅黒く彫が深い人が多くいます。
この地域はカシュガルに民族の交差点(北はステップロード、南はインド、東は中国、西はローマに通じる道がある)があるように、多数の民族が訪れた土地であり、かつ支配者もコロコロ変わったので民族構成がごちゃごちゃになっています。まるで日本のようです。

お世話になった北方ウイグル人曰く「南部の連中は浅黒いし言葉も違う。正当なウイグル人じゃない」などとのたまっておられましたが、この様に「ウイグル人」同士の結束と言うものは比較的弱いものだと思います。

私は3年前に1ヶ月ほどこの土地に住みました。その時感じたことは、ウイグル人日和見主義者が多く、自分の生活が安定する、または安定する方向に向かっていればとくに現状の漢族との支配関係に不満はなさそうでした。支配階級になる道が閉ざされている、または差別されているという事実があるとしても、です。
またウイグル人イスラム教徒として見た場合、とてもではないが敬虔とは言えず、普通にビールを飲み、さすがに豚肉は食べませんが、アッラーに対する祈りも頻繁にはおこなっていないようです。まあ中には敬虔な人も当然居ますが。

以上の話は都市部の話です。
ご存知のように中国共産党は外国人の立ち入りを厳しく制限している地域が多数あり、特に辺境の貧しい部落などは普通の外国人は立ち入ることができません。
ちなみにコネがあればあっさり入れます。コネを掴むのが困難ですが・・・
よって、都市部以外の地域のウイグル人は漢族支配に対してどのように考えているかはわかりません。

ただ、私は今回の事件に対してこれだけは言えると思います。
ウイグル人は70年前に比べ、生活水準が向上した」と言う事実です。
一部巷で言われている(中国共産党は「事実無根」と主張していますが)「ホロコースト」「民族浄化」「居住区を無視した核実験」を行ったという事実があったとしても、です。

日本人の独りよがりな視点から見ても、女性の教育水準は、イスラム教諸国のそれとは比べ物にならないほど上です。女性の社会進出も活発です。
これは、純粋にイスラム教を信仰している人々から見ればどう思うかはわかりませんが、漢族支配の恩恵だと言えます。

都市部のウイグル人はおそらく、このまま現状を維持する道を望んでいると思います。

しかしながら、この結論には大きな条件があります。
それは都市部のウイグル人の生活水準が悪化した時です。

ご存知のように中国では沿岸部と内陸部の貧富の差が拡大しています。
新疆の首都、ウルムチは世界でもっとも内陸にある都市で、沿岸部に比べて物価が非常に低く、また貧しい人間が多数居ます。ウイグル人だけでなく漢族もまた貧しい。

今後、生活水準の低下を引き起こすことがあれば、貧しい都市部のウイグル人民族自決の炎が芽生えるのかもしれません。

今回のこのETIMの声明はその引き金になっても、決しておかしくはないのです。

さて、上の結論は都市部「以外の」ウイグル人を考慮していません。前述の通り中国共産党は外国人立ち入り禁止区域を広範囲に定めており、そこでどのような事が行われているのかという正確な情報を掴むことは困難です。

東トルキスタン南部を旅行中にイェンギサルという小さな町で、とある少年(写真)と出会いました。

彼は15歳で、イェンギサルの学校に通い、英語を学んでいる、と非常に癖のある英語で語ってくれました。
そこで、彼に「将来何になりたいのか?」と聞くと、
"Soldier. But I want to become the soldier of East Turkztan. Not Chinese soldier!"
と答えました。
私は驚いて、「何故そうなりたいのか?」と質問しました。すると、

「ここ東トルキスタンウイグル人の土地だ。中国人は我々の土地を奪った。だから、この土地を取り戻すために兵士になる。」
「君は中国人は嫌いか?」
「大嫌いだ。」
「君の様な考えを持ってる人は他にもいるのか?」
「たくさんいる。ただ、大抵のウイグル人は金を稼ぐことしか考えていない。どうしようもない連中だ。」

彼の考え方がが果たして都市部以外での一般的な考え方であるのかはわかりませんが、もし都市部以外に彼のような考えを持った人間が多数居るとすれば、都市部以外のウイグル人には漢族、または中国共産党に対する怒りが渦巻いていると考えられます。

都市部ではたとえ平穏に推移したとしても、今回声明を出した組織が都市部以外にネットワークを広めることができたら・・・
そして、都市部のウイグル人が貧しくなり、漢族に対して怒りを爆発させ、ウイグル人全体が一致団結した時、果たして東トルキスタンは表面上の平和を保つことができるのでしょうか?

今、東トルキスタンは、中国共産党に対して戦いを起こし、数百万人の命が奪われることとなり、それでも民族自決を勝ち取らなければならない状況まで追い込まれているのでしょうか?

もし、ウイグル人民族自決への道を覚悟するとなれば、それは中国共産党が崩壊する切っ掛けともなりかねません。
その場合、「ホロコースト」「民族浄化」「居住区を無視した核実験」
を行った中国共産党はどんな手段を取るのでしょうか?

今までどおりの生活を維持するか、多大なる犠牲を払って民族自決を行うか。

全てのウイグル人に幸いあれ。
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